泪が蒼生と雅紀を一瞥し、「日万凛、知り合い?」との問いに、日万凛は素直に「泪大丈夫よ、幼馴染なの。」と伝える。
 泪は少し困惑した。泪は日万凛と社会人になってからの親友だがそれまでのお互いの恋愛話は聞いた事があったからだ。

 その時、日万凛は幼馴染にずっと片想いをしていたけれど、中学時代から距離ができてギクシャクしていた。疎遠になった原因も蒼生の素行の悪さやら、女遊びという話を日万凛から聞いている。
 日万凛の幼馴染はロクでもない、それが泪の印象だった。

 だが今、泪の前に居る蒼生は、イケメンなスーツの似合う社会人。日万凛を見る蒼生の目はとても優しい印象で今も雅紀に話しかけられ戸惑っている日万凛を庇うようにしている。
 いい大人だし無闇に日万凛を傷つけたりはしないだろう。そう泪には感じた。

 日万凛と蒼生の様子を見ながら泪はこれからの予定を言う。
 「今から日万凛と帰る予定でしたが…えーと、お名前伺っていいですか?」泪は話の途中で蒼生に名前を聞き、蒼生が名乗ると「神崎さんがちゃんと日万凛を家に送り届けてくださるなら私はそれでいいですよ」と勝手に決めてしまう。
 日万凛は戸惑う。泪が決断力のない日万凛を思って後押ししてくれたのだろう。