日万凛が席を外している間に男性陣が今日これからカラオケ行くというのが決まったようで、話の内容は恋バナからカラオケの選曲についてに変わっていた。
 だが日万凛は、先程の蒼生との再会で気持ちが落ち着かない。

 カクテル言葉がキッカケで蒼生を思い出す事が多くなっていたところに、再会場面が躓き抱きとめてもらったという失態だ。
 一緒の空間に居ることに気不味さを感じ、でもそれを周りに悟られないよう取り繕う。
 どうにか気持ちを切り替え、日万凛も話の輪に入り始めた。

 直に泪のスマホが着信を知らせる。日万凛たちに断りを入れ着信に出る泪は少し声が弾んでいる。きっと智之からなんだろう。そろそろお迎え到着なのかも知れない。
 「智之さんが着くって連絡かも。そろそろ帰り仕度しようか?」
 日万凛は男性陣に声掛けながテーブルの下にある籐籠に手を伸ばした。