そして結城に「それじゃ、田崎先輩の話、聞かせてくださいよ!」と日万凛のターンと知らさる。
 その時、たいして話す事がないと気がつく。
 大学三年で約五年付き合っていた彼氏と自然消滅した、と簡単に話して終わらす。
 千隼と別れてから全く何もなかったか、というと泪の彼氏の友達を紹介されたり、想いを告げられた事もあったりも幾度かあった。
 何度かデートも誘われ男性と出掛けたことも事もあったが付き合うことはなかったのだ。
 ここで話を切り替えようとしていたのに泪が「そーいや日万凛ってば、同じ会社の人に告白されたよね!私の前で。」と爆弾を放り込んだ為、その後日万凛は周防と結城に興味本位で根掘り葉掘り聞かれたのは言うまでもない。

 一通り恋バナを話し終え、気が付いたら日付も変わる時間になっていた。
 話をしている間に泪は彼氏の智之に連絡入れていて迎えに来てもらう算段をつけていた。
 泪の彼氏は今残業帰りとの事。あと三十分程でこの店に着くらしい、それまではここでまたBARで話しして時間潰そうとなった。

 日万凛は一人で電車で帰ると伝えたが泪に呆気なく却下された。泪と飲む時、毎回智之に日万凛も送ってもらうのだが、その都度毎回何度も断っていた。智之にも「日万凛ちゃん一人で何かあったら俺が泪に怒られるから。俺のために素直に送らせて」と言いくるめられてしまう。
 それからはよっぽどのことじゃない限りは二人の好意に甘えて送ってもらうようにしていた。