旅行当日は梅雨の合間の晴天だった。
 予定通りと言うべきか、仕事帰りに蒼生の家に連れて行かれ前日から一緒だ。旅行の支度したいから自宅に帰る、と言う日万凛の意見を蒼生は即座に却下した。
 ともあれ楽しみにしていた旅行であるわけで、朝から気分は上々である。何だかんだと蒼生と付き合い始め、そろそろ一年になるかという状態であるけれど、遠出は初になる。
 
 少し渋滞に引っ掛かりもしたけれど、スムーズに目的地に到着した。
 今回の目的地は草津温泉だ。湯畑や湯もみを見てみたい、そんな理由で旅先をリクエストしたのだ。

 宿にチェックインする前に近場を観光する。神社に行って御朱印貰いに行ったり、庭園を見にいったり、温泉街にある土産物屋を見にいったり、ただ観光地歩いているだけでもそれが新鮮で日万凛は普段以上にはしゃいでしまった自覚がある。
 蒼生はそんな日万凛を優しい顔で見守ってくれてる。それに気が付いた時、日万凛の中でまた一つ蒼生を好きになる。