「金曜から土曜に掛けての一泊二日で。本当はギリギリまで三泊したいところだったんだけどな。あの騒動の後に、じいさんにお前と付き合い始めたこと知られた。そしたら「じいちゃんは日万凛ちゃんに会いたい」といい、勝手にその週の土曜の夜にレストラン予約しちまって…でも俺もどうしても日万凛の誕生日祝いたかったら、この有休は譲りたくない。」
 蒼生の顔をそっと見ると、少し赤い。照れている蒼生は貴重だ。
 「本当は、ちょっと飛行機に乗ってとか考えてたけど、じいさんの要望もあるしな、今回は車で行ける近場で。旅費は俺が持つ。誕生日プレゼントの一環だからな、クレームは受け付けない。」
 蒼生のおじいちゃんとは、まだ幼かった頃に何度も会っている。丁度、その時蒼生のおばあちゃんが入院していたとかでその間だけ、神崎家で同居していたとか。
 蒼生との関係も険悪になる以前の幼稚園の頃とかで、幼稚園休みの休日に神崎家にお邪魔した時、日万凛や潤の遊び相手をしてくれた。
 知らなかったとは言え、大企業の当時はまだ社長だったおじいちゃんに遊んでもらっていたとか恐れ多い事だ。
 近所の幼馴染でしか無い日万凛や潤も、蒼生と同等に可愛がってくれたのだ。