再会してからの蒼生は、学生時代の蒼生とは態度も、言葉も、表情も、纏う空気も違っていて、日万凛は戸惑った。
 それでも、再会してから、そして想いを伝えてくれてから日万凛を大事にしてくれている。それこそ壊れものを触れる時のような、そんな繊細さもあった。
 自分の想いを告げるのに躊躇いがある日万凛を知っているから、何かを決めるときなど、自分の気持ちを言う前に、日万凛が発言しやすいよう話を持っていってくれたり、ささやかなことだけれど、そういう一つひとつが日万凛の凝り固まった気持ちを溶かしていったのは事実だ。
 けれども…

 「じゃあ、なんでお嬢様の件は何も話してくれなかったの?私、いつも蒼生が連絡くれてたから、自分からってなんとなく躊躇いがあって聞けなかったの…会ってた時も蒼生のスマホが何度も鳴った事、有ったよね?それは、そのお嬢様からだったの?それに本当は街中で寄り添って歩いているのを見たとき、すぐ連絡したかった。」
 話してたら、その時の光景が脳裏に浮かび胸が痛くなる。あの時、二人は本当にお似合いだと思った。
 日万凛と違い、華やかな女性が寄り添っているのだ。遠目からだったけれども、そこだけは別世界のように見えたのだ。
 そして、その時に「やっぱり私には見た目からしても蒼生に相応しくない。」と思ったものだ。