翌朝、目を開けた時、まだ日万凛は蒼生の腕の中で眠っていた。夜中に訪れた時は気がつかなかったが、数ヶ月前より日万凛は少し痩せていた。やせた、と言うよりはやつれたと表現した方が正しいだろうか。
 今は瞑っている瞳の下には薄っすらと隈が見える。どれだけ日万凛が不安な思いをして過ごしてたのだろうか。

 日万凛を見ていて切なくなり、再びグッと抱き込む。
 目の前に日万凛の細いうなじが来て思わずキツく吸いつく。白いうなじに真っ赤な痕がつき、蒼生は一人ニヤける。
 キスマークなど経験が浅い学生がこれ見よがしに付けると小馬鹿にしていた。何人もの女を抱いて来たけれど、誰一人紅い花を女に咲かせたいと思ったことがなかったし、咲かせたこともなかった。
 けれども、日万凛には咲かせたい。日万凛は自分のモノ、と独占欲を露わにしたい。
 日万凛の前だからこそ大人の男でありたいと思うけれど、蒼生は日万凛の前だからこそ初めての彼女を喜ぶ中学生や高校生程度の思考になる。
 くっきり綺麗に痕が残った事に満足し、再び日万凛を抱きしめたら「うっ…」と日万凛が唸り、違和感感じたのだろうか、身体をビクッとふるわせ緊張から身体に力が入った。