「アンタ、最低!!」

そう言いながら目の前の女は蒼生に水をぶちまけてきた。
半年前にナンパされ付き合い始めたこの女、可もなく不可もなくだから付き合っていたけど。
気分変わった。
だから蒼生はこの女に別れを切り出した。

別れを切り出したきっかけなんて些細な事だ。
蒼生たちが入って暫くしてこのBARに入ってきたカウンターの女が気になるからだ。
席が離れているから途切れ途切れにしか聞こえないけれど、マスターもバーテンダーもそのカウンターの女を「日万凛」と呼ぶ。
蒼生がずっと好きな女の名前。

トイレの場所聞くふりしてカウンターに寄った時、丁度日万凛と呼ばれた女は電話しながら手帳開きスケジュールの確認をしていた。
蒼生の存在には気が付いてない。その横顔みてすぐ分かった。高校卒業してから一度もあっていないが、この女は蒼生の好きな日万凛だ。

別れ話している間に会計済まして店から出て行った日万凛。
そして蒼生に水をぶちまけた女も帰って行った。
だから席をカウンターに移してもらい飲み直す。
わざわざカウンターに来たのはマスター達に日万凛の今を聞きたいからだ。