蒼生はとてもイラついていた。念願叶って拗らせた初恋を実らせ、これからだと言う時に邪魔が入ったからだ。
 
 櫻小路華蓮。
 日万凛と再会したBARで、蒼生に水をぶちまけてきた女だ。どうしても外せない仕事絡みのパーティーに参加した時、初めて華蓮と会った。
 基本、特定の相手がいない場合、来るもの拒まずなスタンスで対応する蒼生が余り関わり合いたくないと思った女である。
 遊ぶ女には出来ない女。言動の端々で自己主張が強く、独占欲を隠さない。
 これが、最愛の女の態度ならばまだいい。けれどもこの手の女は火遊びには向かない。こちらが火傷する相手だ。
 余りにも執拗で蒼生が折れて付き合い始めたのが、二年前の事。元々の蒼生の付き合い方のスタンスは誘われたら応じるが、自ら連絡してまで会わないし、ヤりたいとは思ってない。
 結局の所、蒼生の中では今まで関係があった女達は日万凛の代わりでしかない。