「アンタ…日万凛の何?」
 思わず臨戦態勢になり、初対面の相手に対して敵意を剥き出しで詰め寄る。顔を見てハッと息を飲む。
 今、潤の目の前に居るのは芸能人だ。しかも日万凛の仕事で関わり合いのある和泉である。
 だからといって日万凛と一緒にいたという事実が潤には許せなかった。
 「…日万凛?ああ、田崎さんのことか。それにしても初対面の相手に随分不躾な質問だな。もしかして君が今、田崎さん悩ませてるカレシって訳?だったら俺、君の事許せないな。田崎さん、貰っていい?」
 思わぬ反撃を受け、一瞬虚をつかれた。
 「…日万凛は俺の大事な女だ。お前なんかに渡す訳ねーだろ。和泉サン、日万凛と仕事でいっしょにやってましたよね?だが、プライベートで日万凛にちょっか出すの辞めてくんね、ムカつく。」
 和泉に牽制しながら(こっちに色々問いただすより、日万凛を明日召集して聴き出した方が早いか。)と、脳内で結論出した潤は早々にこの場から去ることにする。
 「あ、和泉サン。さっき言った通り、日万凛は俺の大事な女だ。だから日万凛にちょっかい出そうとするの、止めたほうがいいよ。日万凛と俺の関係は恋人じゃなくて姉弟だけどな。」
 立て続けに捲し立てた潤のセリフのその最後に和泉は反応した。
 「…田崎さんの…お兄さん?」
 余りにも予測していた通りのコメントで笑ってしまう。大抵、日万凛ときょうだいだ、と言うと初対面の人は先ず潤が兄で日万凛が妹と思う。この和泉もまさにそう思ったのだろう。
 「和泉サン、ハズレ。日万凛は俺が愛してやまない姉貴。」