(どういうことだ?)
 最近、日万凛と会っても「蒼生が忙しくて会えてない。」と聞いていた。
 そして日万凛が体調崩した後くらいから徐々に日万凛の雰囲気が蒼生と付き合う前の頃の日万凛に戻りつつあるとは思っていた。
 
 潤の座っている位置だと、カウンターに背を向けている格好になり、そしてすぐ背後には柱がありカウンターを見辛いが、カウンターからはこのボックス席はほぼ見えないだろう。
 距離もあり、何を話しているかわからないが、親密な雰囲気だ。

 日万凛と蒼生が一緒にいる場面より甘い雰囲気に見える。日万凛も相手の男に信頼を置いているのか、ずっと寄り添ったままだ。
 暫く抱き合っていたかと思えば、二人は立ち上がり店内を出ていった。
 「あー、あのカウンターの彼女、彼氏に連れて行かれたよー!!」
 最初に日万凛に気が付いた同僚が残念そうな声を上げる。その声にイラつく。
 「さっきからうるせー、そしてあのカウンターに居た女って俺の大事な女だからそういう目で見るな、汚れる。ちょっと俺席外すわ。」
 「え?ちょっと田崎?」そう呼び止める同僚を振り切りBARの外へ出る。丁度、タクシーが去った後でBARの入り口近くに日万凛と一緒にいた男がタクシーを見送っていた。