その後カクテルを知りたい、と伝えた日万凛に東雲と榊はカクテル言葉クイズなるものを出してくれ、それがまた出題の仕方も面白おかしくしてくれ、興味を惹かれる内容だった。
 気がついたら一時間、二時間、と時BARでの時間が過ぎる。終電よりも余裕ある時間に帰ろうと日万凛が会計をしている時、BGMのジャズの音色を引き裂く声が聞こえた。

 「アンタ、最低!!」と、ヒートアップしている女性の声につられ振り返ると日万凛の現在地から一番遠いテーブル席の男女が揉めている様だ。
 女性は日万凛に背を向けて座っている格好なので顔は見えないが後ろ姿だけ見ても派手そうな女性だ。
 向かい合って座っている男性は二十代後半くらいに見える。

 ムードある間接照明の店内なのでハッキリと顔は見えないけれど、身なりもスーツをオシャレに着こなししっかりしていそうな男性に見える。
 声に振り返ってテーブル見たとき、その渦中の男性が一瞬目を見開いたしたが気のせいだろう。
 日万凛はその後このカップルがどうなったんだろう、とちょっと気にしながらBARを後にした。