ここ二年近くの出来事を掻い摘んで話す。仕事で関わり合いある人に恋愛の愚痴なんて、と理性では思っていても、一人で悩むには限界がきていた。和泉は「それで?」「そっか…」と、時々相槌を入れてくれ、話しやすかった。

 「田崎さんって、仕事では卒なく隙が殆ど無いのにプライベートだと隙だらけだな。俺、つけ込むよ?そんなヤツと別れて俺にしない?」

 真剣な顔をした和泉にドキッとする。だが、次の瞬間には口元にニヤリとした笑みを浮かべただかと思えば、そっと身体を離し視線を日万凛からグラスに向けた。
 「冗談だよ。真面目な田崎さんを誘惑するなんてしたら、次田崎さんの会社のCMとか出させてもらえなくなるから。それに、不破さんを怒らせたくないしな。」

 ほら、子供は寝る時間だ。と、頭をポンポンとされ「マスター、チェック。二人分。」と、会計をさっさと済まされてしまった。
 「今日は奢ってやる。だから田崎さんはこんな所で悪酔いしてる暇あったら彼氏と仲直りしな。じゃないとマジでつけ込むよ?気を付けて帰れよ。」