そんな日万凛の心情などお構いなしに、隣にいた女性は蒼生の腕に絡みつく。真正面を見ている蒼生の表情は見えないけれど、女性の顔は遠目から見ても嬉しそうだ。
 日万凛は、繁華街へと足を向けて歩いてる二人を振り切るように急いで駅まで駆け込むしかできなかった。

 蒼生に確かめる勇気もなく、ただ時間だけが過ぎていく。
 不安で気持ち押しつぶされそうだが、連絡する勇気もない。素直になることもできない。そして、パタリと止んだ蒼生からのメッセージ。
 日万凛は八方塞がり状態だ。

 けれども、ずっとそうやって学生時代を過ごしていた日万凛は、感情をコントロールのだけは長けていた。

 「話したい、会いたい、抱きしめてもらいた」そう思う反面、「ほらね、やっぱり。」という諦め。
 このまま、終わってまう。それでも、仕方ない。一人になるとまるで戒めかの様に自分に言いきかせる。