蒼生の気持ちがどこに向いているか分からなくなってきた。せっかく、ずっと胸の奥深くに閉まっていた恋心が実を結んだのに。

 蒼生の気持ちは今、一体何処へ向かっているのだろうか。日万凛にはもう分からなくなっていた。
 お互い子供ではないのだから一言「仕事が忙しいから会えない。」と言ってくれればいいのではないか。

 スマートフォンを気にする。それは誰から掛かってきたか見られたくないのは何か隠しているからか。
 漸くずっと胸の奥深くに閉まっていた恋心が実を結んだのに。
 早くも暗雲立ち込めてきて、日万凛の気持ちも沈むことが多くなった。

 せめてもの救いは仕事が忙しいことだ。日々の忙しさで、気が紛れているのは紛れもない事実で。
 休みの分を挽回すべく、それ以上に何も考えたくないから仕事を詰め込む。
 日が過ぎれば過ぎるほど、蒼生からの連絡の回数も減り、日万凛からも連絡を入れる回数も減っていった。
 千隼の時と同じようになってしまう、頭では常にそのような警鐘が鳴っている。けれども日万凛は動くことが出来なくなっていった。

 嫌な予感と言うのは、往々にして当たるもの。
 それを後に経験することになる。