蒼生を振り回したい、服従させたい、そんな気持ちが徐々に大きくなっていった。
 蒼生は見た目はイケメン、そして宝泉グループ一族と縁戚関係である。
 蒼生のバックが大きいのが華蓮にはとても魅力に感じている。そんな蒼生と結婚し、蒼生を桜物産の社長にでも据えれば宝泉グループとの関係も強固になり、桜物産も今より大きくなるだろう。
 華蓮に取ってはまさに良いとこ取りの縁談になるのだ。
 蒼生との結婚に対し、不満があるとすれば蒼生の方が年下な事。そして、華蓮を一切恋愛対象としてみていない事だろう。
 それよりもいい男を侍らせ、働かずとも裕福に暮らせるであろう収入、それが華蓮の自己顕示欲を満たしてくれるであろうと思うからだ。

 この二年近く華蓮も色んな男と付き合ってきた。社会的地位がある男、見た目が華やかな男。けれども、蒼生より心動かされる男は居なかった。
 
 華蓮も三十歳になった。
 華蓮が見下していた学生時代の友人たちも大半は結婚し、早い友人はもう子供が二人以上いる。
 平凡な幸せは求めてない。自分には平凡な人生なんて似合わないと華蓮は思っているからだ。誰が見ても優良物件を手に入れたい。
 その為には蒼生が欲しい。

 「見合いでもセッティングしてもらうか。うちの取引先の社長で笹川と懇意にしていた社長がいたはずだ。」