「お前は男漁りに来てるのか。仕事しないなら帰れ。」と。
 このモデルとは共演したくない、と言われてこちらとしては散々振り回されていたのでモデルを庇う気にはなれず、制作会社の方にキャスティングの変更や、撮影日の組み直し等バタバタしていた。

 どうにか全てにおいての着地点に到達したことにより、安心してしまったのだろう。週末にかけて徐々に体調が悪くなっていった。
 風邪気味だとは感じてはいたけれど、週末休みになって完全に力尽きてしまった。

 普段は一人でも思わないけれど、体調悪い時は家に一人でいる、というのはとても寂しく感じる。テレビの電源を入れ、適当にチャンネル回す。シーンと静まり返っていた家の中に音が生まれ、少しホッとする。

 ご飯は作れそうも無い。何か食べれそうなものを買ってきてもらおう。そして昼過ぎまで熱下がらないようだったら病院に…。
 朦朧としながら、これからの行動を組み立てて、潤へメッセージを送信した。
 起きていられない。喉が渇いて仕方がないが、一度寝転がってしまったら飲み物を取りに行くのも億劫だ。
 潤が来るまで少し身体を休みておこう。そう考え日万凛はそっと目を閉じた。