その時、蒼生に紹介された江藤千隼(えとうちはや)はとても優しい男性だった。
 蒼生に紹介され暫く経った頃、千隼に告白された日万凛は断った。複雑な気持ちをまだ蒼生に持っていたからだ。
 だが千隼は急ぐことなく、二人の関係を築いてくれた。そして一年後、千隼は再び想いを日万凛に伝えてくれた。
 その頃には日万凛も蒼生に向けていた恋心に区切りをつけ、千隼の思いに応えることができた。一年の時間をかけ、日万凛の中には千隼を好きを言える様な気持ちの変化があったからだ。

 それから大学三年の夏頃までは恋人だった。だが大学生活も後半に差し掛かり、就活も始まって行くにつれすれ違う様になっていった。
 なかなか会う時間、連絡しあう時間が取れくなり、日々の忙しさで優先順位も下がっていったのも原因だろうと思う。
 直接的な別れの言葉はなかったけれど、結局連絡が途絶える形で約五年の交際は終わりを告げた。千隼と別れてから日万凛は恋人はいない。