「……ごめん。ヤキモチだ。今迄、テキトーに女と付き合っててこんな気持ち感じた事なくて。だから…戸惑った。」

 背を向けたアイツの服の裾をそっと掴み引っ張り、そう語りかける。自分らしくない告白だと思う。
ビックリして振り返る日万凛の顔は赤くなってた。
 照れ笑いしながら裾を掴んでるオレの手に日万凛も手を添え。そのまま手を繋ぐ。

 どちらかともなく恋人繋ぎをしたが、年齢ももうアラサーで小恥ずかしい気もする。だがそれよりも嬉しさが勝る。
 とことん日万凛に溺れてる気がするが…遠回りし、紆余曲折あって20年来の恋を実らせたんだ。

 日万凛の所為でなんかヘタレでカッコ悪い男になったが、それさえも許せてしまえる自分が少し怖い。

 一回り小さい日万凛の手をギュッと握り直し歩き始める。日万凛にはまだ行き先を告げていないが、向かうのは自分の家。今日こそは……

 「日万凛、今日こそはお預け、無しだからな。」

 その言葉の意味を理解し益々顔を赤くする日万凛をみて満足しながら帰路へ着いた。
 今日こそは、日万凛の全てを貰いたい。
 いや、貰ってやる。繋いでる手を強く握りしめれば、日万凛もきゅっと握りしめてくれる。
 それに益々嬉しさを覚え、今晩あるであろう甘い夜に想いを馳せていた。