「ううん。だって仕事じゃない時に男の人と二人きりでご飯なんて食べ行かないよ?」
 こんないじらしい事言われて落ちない男は居ないと思う。これを無意識にやってしまう日万凛は凄いヤツだと思う。だが、それは蒼生限定で許す案件でもあるが。

 「…なんて断ってきたんだよ。あの後輩クン、お前のこと好きなんじゃね?飯くらい行ってきてやりゃ良かったんじゃね?」
 カッコ悪いと思いつつ。拗ねて突っぱねようとしてしまう。
 (…………オレはガキの頃から成長してねぇな……)

 一瞬傷付いた顔した日万凛。直ぐに表情を元に戻したが分かる。
 つまらねーヤキモチで一瞬でも嫌な気持ちにさせた。本当はそんなこと言いたいんじゃねぇ。
 今迄、カッコつけて本心隠して。幼馴染っていう壁を乗り越えたく思いつつ、乗り越えられなかったらという不安で遠ざけて。
 これじゃガキの頃のままだ。
 そっと背を向けるアイツ。そして一言こう言ってきた。

 「結城くんには『カレシと一緒に帰る。』って言って別れてきたよ?」
 今迄、あおに対する気持ちをあおにも周りにも伝えるの躊躇ってたから…今は自分の気持ちに正直になる事にしたの。と、顔赤くしながら話してくれた。
 (オレと同じ気持ちだったんだ…)
 そう思ったら薄っぺらい虚勢張ってる自分が情けなくなる。