日万凛がどの様に返事するか気になる。気になるが、聴きたくもない。別に約束なんてしていない。後輩という位だ。仕事上の付き合いもあるだろう。
 理解はしていても納得してるか否かと問われれば否だ。
 けれども蒼生の小さなプライドが素直になるのを邪魔をする。そんな思いから蒼生は再び駅の方へ足を向ける。

 「…じゃな、日万凛。お前も気を付けて帰れよ。」
 後ろ髪引かれる思いってこんな気持ちなんだな…
 とか頭の片隅で考えながらその場を後にした。

 日万凛と付き合うようになって無意識に吸う回数が減ったタバコ。駅近くにあるの喫煙ブースでふかしながら、考えるのはやはりさっきの事。
 自分では恋愛下手だとは思ってないが…日万凛に関しては不器用過ぎるのにも程がある。
 上部だけの感情で付き合ってた今迄の女とは違うんだな、と。

 「……!!よかったぁー。。。蒼生いたっ!」

 ボーッとらしくなく考えてたら喫煙ブースの外に日万凛がいた。肩で息をしてるから走ってきたのだろう。日万凛の前ではタバコなんて再会したBARで吸った以来してないのに、よく喫煙ブースに居ると当てたと思う。そして嬉しくも思う。

 さっきまで一緒にいた後輩クンはいない…断ったのか。あの厄介そうな後輩クンを蹴って追い掛けてくれたことが素直に嬉しい。
 日万凛を待たせるのも悪いと思い、吸いかけのタバコを灰皿に捨て喫煙ルームを出た。
 「お前、後輩クンとディナーじゃねーの?」
 けれども口に出た言葉は捻くれていた。ここにいる時点でそんな事はとっくになくなってるのは分かり切ってる。
 でも拗ねさせろ。目の前で誘われるお前が悪い。