時間になり見送りに日万凛と結城が一緒にエントランスまで降りてきた。少し先を椎名と結城が話しながら歩いている際に千隼は切り出した。これを言うために今日はここに来たのだ。

 「…日万凛。今日これから会えないか?話がしたい。」

 けれども日万凛は「業務以外での接触は申し訳ありませんが対応しかねます。」と、態度を崩さない。
 それでも食い下がると「彼氏がいますので、不用意に仕事以外で会うつもりありません。」と言う。そして最後に「私も最近まで千隼との恋を消化し切れていなかったけれど。だからこそ千隼もちゃんと思い出にして?お互い自然消滅なんて不本意だったと思うけど。だからちゃんと、終わらせよう。」と頑に態度を崩さなかった日万凛が当時の口調で別れを伝えてきた。

 椎名と結城より少し遅れ、入り口に到着した千隼は椎名の隣に並び、日万凛達に礼を言う。
 仕事のこともだけれど、これで一歩前に進める様なそんな気がしたからだ。
 「本日はお時間いただきありがとうございます。結城さん、田崎さん。また二週間後にお伺いしますね。」
椎名の挨拶と共に礼をし、会社を後にした。