そんな中、「あっ！」と思い出したかの様に椎名が口を開けた。
　「田崎さーん！この前の打ち合わせ、来れなくてごめんなさい！」
　椎名の謝る際のお決まりのポーズである顔の前で両手を合わすポーズをし、その流れで日万凛の座っている席の近くへと進んだ。
　「大丈夫ですよー。あの日、代理の方を立てて下さったお蔭で今日の打ち合わせもこんな充実した時間過ごせましたし。」
　ね？と伺う様に言う日万凛に椎名も「ありがとうございますぅ」と平伏しっぱなしだ。元はと言えば、ダブルブッキングさせた椎名が悪いのだから仕方ない。

　「そー言えば…さっきエントランスにあるカフェで小耳に挟んだんですけど…その日、彼氏が迎えにきてくれたらしいじゃないですか！！見たかったです！！」

　平伏しっぱなしかと思ったら、爆弾投下する当たり、椎名は凄いやつだと思う。まぁ、その彼氏とはは日万凛の弟であるが。

　その椎名の一言を日万凛と一緒にいた女子社員が拾い「椎名さん、多分それ、日万凛の弟さんですよ！その日、デートするって弟さんから私に連絡あったし。」と、紡ぐ。

　日万凛の友達にまで手を回してるのは相変わらずシスコンの弟だな、と苦笑してしまう。
　「何度も弟です、って言ってるんですけど…ね。余り似ていないので見えないみたいです。」と日万凛も苦笑いだ。

　椎名は「今度会わせてくださーい！」とノリノリだ。いやいや、本当にこのノリでいいのか。思わず千隼は不破を見たが不破も「椎名さんはいつも元気だな。そんな気にしなくても大丈夫だ。もう話し合いは終わったし、こうやって仕事の後に雑談するのも立派なコミュニケーションだ。」と寛容なコメントをもらいホッとため息をついた。