「大丈夫だって」
だけど、涼太は嫌がるあたしの手を無理やり引っ張って、パチンコ屋の中に入っていった。
パチンコ屋の中は、外よりもさらに騒々しくて、耳を両手で塞ぎたくなる。
しかめ面のあたしと平然とした顔で店内を突き進んで行く涼太を、フロアを見回りしている店員がときどきちらちらと見てきた。
「ねぇ、やっぱり出ようよ。見られてる」
「堂々としてれば大丈夫だって」
何が大丈夫なのかよくわからない。
涼太はあたしを引っ張って、真っ直ぐに冴島先生が座っている台まで歩いて行った。そして、あたし達の接近に全く気付いていない彼の肩にポンッと手を置く。
「大ちゃん」
涼太に肩を叩かれた冴島先生は、本気でびっくりしたらしい。
ぎょっとした顔で振り返ったあと、後ろに立っているのが涼太とあたしだと気付くと、気まずそうに苦笑いを浮かべた。
「お前ら……こんなとこで何してんだよ?」