次々と空から舞い落ちてくる粉雪。それは、白いベンチに置き去りにされた小箱の上にもさらさらと舞い落ちていく。

小箱は光沢のある綺麗な包装紙に包まれていて、上から金色の細いリボンがかけられていた。

せっかく綺麗な包装紙に包まれているのに、小箱の上に粉雪が落ちるたびにその水分が染み込んで少しずつ色を変えていく。

あたしは男の人が去っていったほうを振り返ると、自分でもよくわからない衝動に駆られて、ベンチの上の小箱を拾い上げた。その箱を強く握り締めて、去っていった彼を追いかける。

公園を出てからそれほど遠くはない場所で、頼りない足取りで歩いている彼の背中に追いついた。

「あの……」

後ろから声をかけたけど、あたしの声など聞こえていないのか、彼は立ち止まることも振り返ることもしない。