みんな自分より、可哀想じゃない。【超短編 シュウ小説】

自分のモノは
自分のモノで

義兄のモノも
あたしのモノで

だから
自慢気なあたしだった

必要なモノは
二人で手にいれる
なんでも手にはいる
何も怖いと思わない

だけど
本当は気づかなきゃいけなかった

義兄があたしを

大嫌いってゆう事に
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こころから
泣き声すら意識できない哀れな彼を
世界は救おうとした。





カインとアベルに見立てでも……
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「最近お兄ちゃんとお姉ちゃん、夕飯食べにこないね」
義兄と私とは12才はなれた自慢の義兄の妻君の話を母にする。

そうね。と母は夕食を作りながら笑った。
「あの子も自分の味で」
旦那の胃袋を掴みたくなったんじゃぁい。

見ながら話してたテレビを消し、肉じゃがを作っていた母に抗議する。
「私はお兄ちゃんと一緒に夕食を食べたい」私が作ったご飯じゃないけどと、ぷいっ

内弁慶な外では寡黙な私には、日々の(たった一人のツレに「つまらない」と言われ続けてる)報告をしたくて、うずうずしてる。
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食べかけのアップルパイパンを一つ食べ終え、じたばたした気持ちを母に訴え、肉じゃがの完成を待つ。

「おまたせ」母が湯気だった、よそわれた皿を私の前のテーブルに置いてくれた。

味も保証できる母の肉じゃがを見ながら思いつきを発した。「これお兄ちゃん達に持ってていい」
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「バカ。お姉ちゃんの楽しみ」を、取りあげる気(怒)

母が嗜めるのもお構い無しで、肉じゃがをタッパーに詰めこむ。

止めなさいよと言う母を背に玄関から駆け出した。

「お兄ちゃんは私のモノなんだから」って
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外は寒かったけど、義兄の嬉しげな笑みを想像すると、制服姿なのに寒さがぶっ飛んだ。

なんの話をしようか?
にやける。
つまらないとレッテルはられたエピソードをぐるぐる思考しながら歩道橋を渡った。

歩行者専用の坂道を上がりきると、義兄達のマンションの建物が見える。
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