「あぁー! こんなところにいた! もう、探したんだよ!?」


元気な声が聞こえてきて振り向くと、入口にふくれっ面の間野さんが立っていた。


「あぁ。おはよう」


「おはようじゃないよ! 若菜から大富君が目を覚ましたって聞いて病室に行ったのに、いなかったから心配したんだよ?」


ぶぅぶぅ文句を言う間野さんは、心なしかふっくらした気がする。


今は大部屋に移動して、あと数日で退院できるところまで回復しているらしい。


原因不明の難病だと診断され、余命1か月を宣告されていた間野さんの回復に周囲は驚きを隠せないでいた。


だけど、僕と間野さんは真実を語ることはこれから先もないだろう。


「晃平君の様子を見に行ってたんだ。また廊下を走り回ってたからさ」


間野さんの能力がなくても、子供たちが健康に健やかに成長できるように見守ることならできると思って。


「晃平君、骨折の方も良くなってそろそろ退院みたい」


間野さんはそう言いながら窓辺へと近づいた。