☆☆☆

午後からようやく1人で歩けるようになった僕は、203号室へ来ていた。


2度ノックをしてドアを開ける。


窓の下が開いていてレースのカーテンが揺らめいている。


ベッドの上でほほ笑む間野さんはいない。


細すぎる手足に、透き通るほど白い肌の間野さんは、いない。


ガランとした病室は何度も来ていた場所だとは思えないほど、寒々しかった。


布団が撤去されたベッドへ近づいてマットに触れてみた。


少しでも間野さんの温もりを感じられればと思ったけれど、なにも感じることはできなかった。


当たり前だ。


だって間野さんは2日前に……。