「2日間も眠ったままだったんだぞ」


翔にそう言われて僕は「えっ」と声をあげた。


「利穂の病室で倒れて、それから2日間経ったんだよ? 覚えてる?」


「あぁ……」


間野さんの病室へ行ったことは覚えている。


あの時間野さんは危篤状態で、もう少しで心臓が止まってしまいそうな状態だった。


だから僕は……たった1度きりの能力を使ったんだ。


「そっか。たった1度でもこれだけ疲れるんだ」


能力によって差はあるだろうが、間野さんはこんなことを日常的に続けてきていたのだ。


寿命が削られてもおかしくなかった。


僕はまだ全身が重たくて、上半身を起こす事もできなさそうだ。


そう考えると間野さんは案外タフなのかもしれない。


「看護師さんが来たぞ」


翔にそう言われて顔を向けると、そこにはあの男性看護師が立っていた。


いつもの爽やかな笑顔を浮かべて「おはよう。ちょっと心音を聞かせてもらうね」と、言って来た。


その声はどことなく響きがあるような気がして、一瞬黒マントの男の顔が過った。


似ている……?