「和利!!」


僕の名前を呼ぶ声がして、息を飲んで目を開けた。


白い空間が視界に入り、黒マントの男と会話をしたあの空間を思い出す。


しかし僕の近くにいたのは黒マントの男ではなくて、若菜と翔の2人だった。


若菜は目に涙を浮かべているし、翔も神妙そうな顔つきをしている。


なんだよ2人とも、変な顔して。


そう言おうと思ったのに、声がかすれて言葉にならなかった。


「よかった! 目を覚ました!」


若菜が泣きじゃくりながらそう言い、ナースコールを押す。


待てよ?


ここはどこだ?


首だけ動かして周囲を確認してみると、見慣れた部屋の中にいた。


ここ最近毎日来ていた間野さんの病室にそっくりだ。


違う部分といえばティッシュ箱の柄とか、間野さんの病室にはなかった髭剃りとか。