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黒いマントの男がいた。


だけど周囲は明るくて、あの時のような物騒な雰囲気はどこにもない。


それ所か僕はこの空間に温もりすら感じられていた。


「それがお前の選んだ相手か」


黒マントの男の声は周囲に響き渡り、幾重にも重なって、元の声がどんなものなのかハッキリとわからない。


そんな中でも僕は懐かしさを感じていた。


「うん。そうだよ」


「立派だな。お前を助けた甲斐があった」


黒マントの男はそう言って笑った。


良いヤツなのか悪いヤツなのか、未だに判断がつかない。


「僕は死ぬの?」


そう訊ねると黒マントの男は一瞬目を大きく見開いて「まさか」と、ため息を吐き出す。


「けれどお前の能力はもう使えない。彼女の能力もだ」