ただその容姿が漫画で見た死神にそっくりだったから、「死神ですか?」と、聞いていたんだ。


僕の質問に黒マントの男は盛大な笑い声を上げた。


僕にはなにがおかしいのかわからなかったから、少しの恐怖心を感じていた。


「俺を見て帰って行った人間がそういう呼び方をしているのは知ってる。お前の知っている死神だろうが天使だろうが、どうでもいい。俺はチャンスを与えるためにここにいるだけだ」


男はそう言ったけれど、僕には到底天使には見えなかった。


「お前、生き返りたいか?」


その質問の意味を僕はしばらく考えた。


生き返りたいか?


そんな質問をするのは、死んだ人間に対してだけじゃないか?


「僕は死んでない」


ちゃんとここに立って、呼吸をし、会話をしている。


「そうか。じゃあ、これを見せてやろう」


男はそう言うと、何もない空間に手をかざした。


するとそこだけ窓のように開けて、光が差し込んだのだ。