あれは今から10年前のことだった。
僕は6歳で、小学校に行きはじめたばかりだった。
黄色いカバーをしたランドセルを背負い、黄色い傘を差して雨の中を家に向かって歩いていた。
信号機へ差し掛かるといつも声をかけてくれる見回りのおじさんがいるのだけれど、この日は誰もいなかった。
毎日いるわけじゃないらしいと、その頃の僕はもう知っていた。
大人の人がついていなくても僕は横断歩道の渡り方を知っていて、自信をもって赤信号で立ちどまった。
行きかう車を見送り、青になって渡りだす。
ほら、できた!
誰かに、できれば母さんに見せて褒めてもらいたいくらいの気持ちで歩いていた。
その時だったんだ。
突然飛び出してきた白い乗用車が僕の体にぶつかっていた。
痛みとか恐怖を感じる暇なく投げ飛ばされ、6歳の小さな体は空中を舞った。
空の青と雲の白。
そして、驚愕する通学班のお兄さん、お姉さんの顔。
僕は6歳で、小学校に行きはじめたばかりだった。
黄色いカバーをしたランドセルを背負い、黄色い傘を差して雨の中を家に向かって歩いていた。
信号機へ差し掛かるといつも声をかけてくれる見回りのおじさんがいるのだけれど、この日は誰もいなかった。
毎日いるわけじゃないらしいと、その頃の僕はもう知っていた。
大人の人がついていなくても僕は横断歩道の渡り方を知っていて、自信をもって赤信号で立ちどまった。
行きかう車を見送り、青になって渡りだす。
ほら、できた!
誰かに、できれば母さんに見せて褒めてもらいたいくらいの気持ちで歩いていた。
その時だったんだ。
突然飛び出してきた白い乗用車が僕の体にぶつかっていた。
痛みとか恐怖を感じる暇なく投げ飛ばされ、6歳の小さな体は空中を舞った。
空の青と雲の白。
そして、驚愕する通学班のお兄さん、お姉さんの顔。