説明のしようがなくて、僕はそう言って口をつぐんだ。


「大変! 心拍数が弱くなってる!」


間野さんの脈拍を計っていた看護師がそう言い、慌てて担当医に連絡を入れている。


さっきまで会話をしていたはずの間野さんは、いまはキツク目を閉じていた。


「ちょっと待ってよ……。利穂? 利穂、聞こえる?」


足元に果物籠を落としてベッドへ駆け寄る若菜。


だけど、その声にも反応しない。


「君たちどけて!」


駆けつけた担当医に怒鳴られて、僕と若菜は病室の外へと追い出されてしまった。


しかし、何人かの看護師か慌ただしく間野さんの病室を出入りして、身内の方に連絡をという単語を聞きとった。


これが現実だなんて信じられなかった。


これが間野さんが望んだ最期だなんて、そんなこと……。


「なんで、僕なんだよ」


思わずそう呟いた。