間野さんの声は力強かった。


本心からそう思って行動してきたのだろう。


「そっか……」


そこまで言うのなら、もう僕が口を挟む余地はなかった。


間野さんは自分の余命を知ってもまだ、能力を使うことをやめていないのだから、覚悟はできているのだろう。


僕のエゴでこれ以上間野さんのやりたいことを否定することもできない。


「悲しい?」


間野さんがいたずらっ子みたいな顔をしてそう聞いてくるので、僕は頷いた。


ここはなにか冗談でも言うべきだったかもしれないが、悲しいという言葉がやけに胸に響いて出てこなかった。


「そんな顔しないで、親友なら笑ってて」


間野さんの手が僕の頬に触れた。


胸の痛みがスッと引いて行く感覚があって、僕は目を見開いた。


「間野さんの能力って……」


「すごいでしょ? 少しだけど胸の痛みにも効果があるみたい」


そう言ってハニカム笑顔に汗の玉が浮かんだ。