振り向くと若菜が追いかけて来るのが見えた。


「なんだよ、教室を抜け出したのか?」


「なによ、和利のくせに私に説教する気?」


そう言いながら若菜と一緒に歩き出した。


「ねぇ、利穂となにかあった?」


不意にそう聞かれたので僕はむせてしまった。


何度か咳き込んで、若菜を見る。


「やっぱり、なにかあったんだね」


「……僕ってそんなにわかりやすいかな」


「そうだね。マジックで顔に書いてある程度にはわかるかな」


若菜は大真面目にそんなことを言う。


僕は無意識のうちに自分の頬を触っていた。