翌日、僕はA組の自分の机に突っ伏していた。


さっきから寺井先生が英単語を連発しているが、そのどれもが僕にとっては重要ではなかった。


「大富君、どうしたの? 今日はいつも以上に力のない顔をしてるわね」


あまりに僕のやる気がないせいか、寺井先生はチョークを持つ手を止めてそう聞いて来た。


「いえ、大丈夫です……」


そう返事をしてのっそりと体を起こした。


昨晩ずっと間野さんについて考えていたから、今日はひどい寝不足状態だった。


授業を受けたって頭に入るわけがなかった。


「ちょっと頭を冷やしてきたらどう? その席は眠くなるんでしょう?」


寺井先生は単純に僕が眠くなっているように見えたらしい。


でも好都合だった。


僕は素直に席を立ち「顔を洗ってきます」と言って教室を出た。


どうせ英語の授業はあと5分くらいで終わる。


トイレには向かわず中庭へ向かうために階段を下りはじめた時、「和利!」と、後ろから声をかけられた。