話しにくいことになるとうつむいてしまうのが癖みたいだ。


「言ったでしょ? 私の命はとっくの前に消えてるはずだった。だから能力を使って1人でも多くの人を助けたい」


「回りくどい説明はいらないよ」


そう言い切ると、間野さんは黒目をグルッと一周させて僕を見た。


「あの力を使うと間野さんの命は削られる。余計1か月っていうのはつまり……能力を使いすぎているせいだ」


全部僕の憶測だったが、僕はそう言って間野さんを見つめた。


「能力を使いすぎているかどうかは私が決めるよ。だってこれは、私が好きでやってることなんだから」


その回答に驚いて目を見開いた。


1度助かった命にすがりつきたいと思わないのだろうか。


「能力を使えと脅されたわけじゃないんだろ? それなら、死ぬまでその能力を使わないでいてもいいはずだ」


「そうだけど、それじゃなんのための力かわからない」


そう言う間野さんの腕はとても細くて、血管が透けて見えている。


「余命一か月になってもまだ続けなきゃいけないことだとは思えない」