病室の中はいつもと違う雰囲気だった。


微かに差し込んでいる西日は弱弱しく間野んの姿を浮かび上がらせていて、その光景はどこか切なかった。


「大富君!?」


僕の心情とは裏腹に間野さんの元気な声。


僕はその声に導かれるようにして病室へと足を進めた。


間野さんはベッドに座り、プリントをしていたようだ。


「体調はいいの?」


「うん。いつもあんな感じなの。一気に熱が出て一気に下がる。心配かけてごめんね?」


「いや……」


僕は左右に首をふってそう答え、そして腕まくりをして間野さんに見せた。


「なに?」


間野さんは首をかしげて僕を見る。


「僕、ここにカサブタがあったんだ。昨日ひっかいて、血が出た」


そう言うと間野さんはプリントに視線を落とした。


やっぱり、昼間の出来事を気にしているようだ。


「それが、今日家に帰って確認してみると綺麗に消えててヒックリしたよ。まさか肌色の絆創膏じゃないよな?」