つい、勢いで言ってしまった。


事故と病気じゃ違う。


徐々に寿命が消えていく恐怖を間野さんは今も肌で感じているはずなのに。


「ありがとう。だけど私が言いたいのはそういうことじゃないの」


「え?」


「本当はあの事故で死んでいるはずだった。その時に黒いマントを羽織った男が現れたの」


僕は瞬きをして間野さんを見つめる。


どうやら話が別の方向へと進んで行っているみたいだ。


僕が想像していなかった世界の話へと。