「ありがとう利穂ちゃん!」


晃平君は元気よくそう言って立ち上がると、談話室へと戻って行ったのだった。


僕は茫然として晃平君の後ろ姿を見送る。


「今の、なに?」


呆然としたまま間野さんにそう訊ねた次の瞬間だった。


間野さんの体がグラリを揺れて僕にのしかかって来たのだ。


咄嗟に抱きかかえた体は信じられないほど軽く、そして熱を帯びている。


明らかに平均体温以上あるその熱に僕は焦り、間野さんから手を離してしまいそうになった。


そしてまた、しっかりと間野さんの体を抱きかかえる。


荒く、苦しそうな呼吸を繰り返して目を閉じている間野さん。


その額にはジワリと汗が滲んできていた。


さっきまで晃平君を追いかけて走っていたのに、その元気な様子はどこかへ消え去っている。


「だ……誰か!!」


僕は間野さんの体を抱きかかえたまま、そう叫んだのだった。