☆☆☆

良く晴れた日だった。


いつものように授業を受けて、いつものように放課後が来て、いつもの帰り道。


僕の足はだんだん重たくなっていく。


『うん。だって私、余命一か月だもん』


なんの抑揚もなく、いただきますとか、ごちそうさま、と同じような口調でそう言った間野さん。


余命一か月なんて僕にはわからない世界だ。


一か月後の地球に僕がいないなんて、想像もできない。


僕は立ち止まり、間野さんの楽し気な笑い声を思い出した。


「なんで笑えるんだよ……」


そうじゃないかもしれない。


僕は間野さんのお見舞いに頻繁に行っているわけじゃないから、間野さんの苦痛を見ていない。


昨日の笑顔は泣いて苦しんで叫んで、その後にあるものだったのかもしれない。


そう、まるですべてが吹っ切れたような……。


そう考えた瞬間息を飲んだ。