「羨ましいな」


不意に、静かな声でそう言った。


僕はそっと顔を上げて間野さんを確認する。


間野さんは窓へ顔を向けて差し込む光に目を細めている。


「羨ましい……?」


「そう。私は2人が羨ましい」


「よくわからないけど」


僕はそう言って鼻で笑った。


若菜は女子だけど、僕の中では女子という感覚はない。


だからといって男友達とも違う。


「2人は幼馴染で、親友でしょ?」


その言葉が僕の胸がストンッと落ちた。


そうだ、親友だ。


性別関係なく親友と呼べるのは若菜だけかもしれない。


「まぁ、うん」


なんだか照れくささを感じてしまって僕は曖昧に頷いた。


間野さんはなにも言わず、窓の外を見つめている。


「間野さんにはいないの?」


不意に、そう聞いてしまった。