「だけど若菜とは仲よしだよね。幼馴染だから?」


僕は間野さんに若菜との関係を話したことはなかった。


若菜は頻繁に間野さんのお見舞いに来ているから、僕の話もしているようだ。


「まぁね」


若菜が間野さんにどんなことを吹き込んでいるのか気になったけれど、どうせろくでもないことだろうと思い直して聞かないでおいた。


間野さんはみじろぎをして体を僕に近づけた。


反射的に上体を逸らして逃げ腰になってしまう。


「若菜は大富君のことが好きみたい」


僕ら2人しかいない病室内で、声を小さくしてそう言う間野さん。


「はぁ!? そんなわけないだろ!」


咄嗟に大きな声で反論していた。


どうせ若菜が面白がって嘘を吹き込んだんだ。


僕がどれだけ動揺していたかを、後で間野さんに聞いて笑うに決まっている。


「あはは! 大富君顔が真っ赤だよ? 照れてるの?」


「て、照れてなんか……」


そう言いながらも、自分の体温が急上昇していることに気が付き、俯いた。


なんだか間野さんにまでからかわれている気がする。