そう話す間野さんの頬は徐々に赤みがさして行く。


僕がここに来たことを本当に喜んでくれているようだ。


「あの……僕は……」


寺井先生の話を聞いていないんだ。


だから間野さんが今どんな状態なのか、僕は知らない。


そう言おうとした瞬間、間野さんの細い手が僕の腕を掴んでいた。


その手は驚くほど冷たくて一瞬腕をひっこめてしまいそうになった。


けれど間野さんの手は見た目とは裏腹にとても力強く、僕を病室へと引き込んでいた。


「大富君とはあんまり会話したことないね? ちょとおしゃべりしようよ」


間野さんはそう言うとベッドの脇に腰をかけ、僕に丸椅子に座るように促した。


そこはついさっきまで間野さんが座っていた場所だったので、座ることに少しだけ躊躇した。


「大富君ってさ、クラスでも大人しい方だよね?」


そんな話をしてなにが楽しいんだろう?


そう思うけれど、間野さんは目を輝かせて僕を見ている。


「まぁ……そうだね」


「人見知りなの?」


「うん、少し……」


特に女子とはどんな風に接すればいいかわからない。