僕は早口にそう言って看護師へプリント類を差し出した。


しかし、事情を知った看護師は爽やかな笑顔を浮かべて「間野さんなら、今病室にいらっしゃると思いますよ」と、ドアをノックしてしまったのだ。


病室から「はい」と、間野さんの声が聞こえて来ると、看護師は何の躊躇もなくドアを開けてしまったのだ。


「あ……」


僕はプリント類を両手に抱えたままその場に突っ立っていることしかできなかった。


開いたドアの向こうに、椅子に腰をかけている間野さんの姿が見えて心臓が跳ねる。


間野さんの長い手足は数日前学校で見た時より更に痩せているような気がして、自然と視線を逸らせた。


寺井先生の説明をしっかり聞いておくべきだったと、今更ながらひどい後悔が襲ってくる。


僕は今、どんな顔をして間野さんを見ているだろう。