僕は何度目かの欠伸をかみ殺して４月の心地いい日差しに目を細めた。


窓際の一番奥のこの席は、どうぞ昼寝してくださいと言わんばかりで、僕はその申し出を断るつもりもなく目を閉じようとしていた。


「今日は大富君と直井君で行ってくれない？」


完全に目を閉じてしまう寸前、担任の寺井先生に名前を呼ばれて僕は意識を取り戻した。


「え？」


半分眠っていた僕は昨日見たホラー映画の映像を思い出していたところで、一瞬１年Ａ組の教卓に立つ寺井先生が死神に見えて瞬きを繰り返した。


「間野さんのお見舞いよ」


寺井先生は薄い唇に笑みを浮かべてそう言った。


「あぁ……」


僕は寝ぼけた返事をしながらも、坊主頭の直井翔（ﾅｵｲ　ｶｹﾙ）へ視線を向けた。