初恋プリズナー



「りりが着るとちょうどよくても、母さん着るには若すぎるだろ?」


と笑って部屋を出て行った。

私が着るには可愛すぎる気がするけど、一応袖を通してみる。

スタンドミラーに姿を映して、頭の先から爪先まで一巡して見ると、なんて言うか……。

モサイ自分と可愛いドレスとのギャップがありすぎて深いため息しか出てこない。

痛い……痛すぎる!

ブスの私は、どんな可愛い服で着飾ってもブスのまま。

御伽話のような魔女はいない。

シンデレラのように、どんなにドレスアップしてもお姫様になるのは不可能なんだ。

不相応な事は慎むべきだと、改めて実感する。

私じゃダメだ。

水戸さんに恥をかかせてしまう。

まだ時間はあるんだから、さっさと謝って誰か違う人と行ってもらおう。

着替えなおそうと、背中のファスナーに手を伸ばすと、コンコンとリズムよくドアをノックされた。


「りり、入るよ?」


返事をする間もなく、ドアが開いて入ってきたのは親友の和歌ちゃん。

どうやら、晴ちゃんが上に通してくれたみたいだ。

スタンドミラーの前に立ち尽くす私を見て、心底げんなりした顔を見せた。


「いもすぎる……」


呆れた口調で部屋に入ってくると、机の上にメイクボックスを置いて開いた。


「話は晴太さんに聞いたわ。とりあえず座って。時間ないらしいから、さっさとやるわよ」


腕を組んで、椅子に座るよう促される。

和歌ちゃんから苛々オーラが出ていて背筋に冷や汗が流れた。


「和歌ちゃん、折角きてもらったのに悪いんだけど、やっぱり私……」

「お家デート中の私を呼び出しといて、何もせず帰れって言うつもりじゃないでしょうね?」


ぴしゃりと言葉を切られ、有無をも言わせない圧力をかけられた。

お……怒ってらっしゃる……。

ここはやはり帰した方が……。

和歌ちゃんを窺うと、手ぶらでは帰らないといった面もちで、私は大人しく椅子に座り、俯いた。

そうだよね、デート中に呼び出されて、私なんかをメイクしてなんて……おこがましかったよね。

和歌ちゃんが、正面にたつ気配がして、顎を掴まれてグイッと上をむかせられた。