そう、有り難いんだけれど・も!

非常〜〜に、恥ずかしい!

颯ちゃんを前にして、私のプライバシーは筒抜けすぎる。

だから、指輪がピッタリなのも納得なんだけど……。

視線を落とすダイヤの指輪は、少し角度を変えるだけで上品な虹色に輝く。

素人目でも解る。

やっぱり、これは高い……。

返品は出来ないって言われたけど、本当にこのまま貰ってしまっていいのか悩みどころだ。

雑貨屋で売ってるような安価な物なら、こんなに心を咎められないのに『0』の桁が違うだけに、妙に心が上ずる。

高校の時、クラスの女の子が彼氏からのプレゼントだと言って、指輪に大はしゃぎしていたのを思い出す。

それを見て、こんな私でもささやかな憧憬を抱いた事もあったけど。


「まさか、こんな形で実現するとは」


込められた想いは違えど、好きな人から貰ったという意味では一緒だ。

嬉しい、でもどうしよう……。

複雑な感情が入り混じる。


『ピンポーン』


インターホンが鳴った。

慌てて玄関に向かい扉を開けると、そこには私の大好きな笑顔があった。


「ただいま」

「おかえりなさい」

「あ~、今日も疲れた~。お腹すいた~」


ネクタイを緩め、廊下を歩く。

左側のドアを開けると、すぐリビングで、少し奥がダイニング。

更に奥がキッチンになっている。

リビングルームに入ると、颯ちゃんは真っ直ぐソファに腰を下ろし、疲れた様子で天井を見上げて「はぁ~……」と深い溜め息をした。


「すぐご飯にするね」


ふふっと笑いながら、キッチンへ向かおうとすると、颯ちゃんに呼び止められ手招きをされた。

小首をかしげつつ傍まで行くと、手首を掴まれ引き寄せられた。

バランスを崩して、颯ちゃんの股の間に膝をつくと、そのまま抱きつかれる。

腰に回った腕にぎゅうっと力をこめらる。

きゃーっ。

颯ちゃんの顔が、胸元に顔が埋められてすごく恥ずかしいんですけど!


「そ、颯ちゃんっ」

「ごめん、ちょっと充電させて」


焦る私と裏腹に、颯ちゃんに邪な思いはあるはずもなく。

颯ちゃんの爽やかな香水の匂いが、ふわっと鼻腔を擽る。