颯ちゃんが、好きって言ってくれた。

近くて遠かった人が、私のものになった。

エンゲージリングを左手薬指に嵌めて。

結婚しよう、て。

――――私、颯ちゃんのお嫁さんになるんだ。

息も飲み込まれるような深い口づけ。

濃密に舌を絡められたり、唇を啄まれたり。

何度も角度を変えて貪れるようなキスに、心臓が壊れそうなほど脈を打つ。

首筋に唇がおりてきて擽ったい。

颯ちゃんの手が胸元を弄られ、身体がビクッと跳ね上がった。

ブラウスの上段ボタンを数個が外されて、胸元と肩が露わになる。

冷房で冷えた空気が肌を撫でていく。

ブラのホックが外されて、ゆっくりベッドに背を預けると、颯ちゃんが覆いかぶさってきた。

胸に這う唇は、時々チリッと微かに痛みを落として進む。

双丘が大きな手で包まれ、胸の先を口に含まれると、火照る身体はますます熱量を増して、吐息がもれた。


「颯ちゃん……」


これ以上はダメだと肩を押し返すと、


「……大丈夫、最後までしないから。久しぶりのリリーに触れたいんだ…」


唇を重ねた。

颯ちゃんに求められてる。

それ感じるだけで喜悦し、与えられる熱を素直に享受する。

割入る舌の滑りに恍惚としていると、コンコンとリズムよくノックする音が鳴った。


「颯ちゃん、りりちゃん、お茶とお菓子どうぞ~」


返事をする間もなく勢いよく開かれたドアから、篠田の小母さんが現れた。

颯ちゃんも私も目線だけで小母さんを見て硬直。

私達の状況に、小母さんも顎が外れたんじゃないかってくらい口を大きくあけて驚愕した様子で。


「あら……。あらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあらあら」


完全に動揺しながら、そっとドアを閉めて居なくなった。

………、………。

な、無かった事に………された?

小母さんの登場で頭が冴えて冷静になる。

私に覆いかぶさったままの颯ちゃんと、開いたブラウスから覘く肌。

何をしようとしてたかなんて火を見るよりも明らかだった。

は、破廉恥な!!

既に遅しといえど、慌てて肌蹴た襟元を手繰り寄せ、前で合わせる。

こんな姿を見られてしまうなんて、恥ずかしすぎて顔から火をふきそう。